2025.02.19
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原則3年の派遣可能期間を延長する際の手続き「派遣先企業が行う❝意見聴取❞とは?」

派遣スタッフの受け入れは、同一の事業所において原則3年までと定められています。ただし、所定の期間に必要な手続きを行うことで、派遣可能期間を延長することができます。今回は、派遣可能期間を延長するための手続き「意見聴取」についてご紹介します。
「意見聴取」とは?
意見聴取とは、事業所単位の期間制限による3年の派遣可能期間を延長するにあたり、その事業所の過半数労働組合等に対して派遣の受入れの継続の是非について意見を聴くことで、派遣スタッフを受け入れる派遣先企業に、法的に義務付けられている手続きです。
実施する時期は?
意見聴取は、事業所単位の期間制限の抵触日の1カ月前までに行わなければなりません。例えば、2024年4月1日に派遣スタッフの受入れを開始した場合、派遣可能期間は3年なので、抵触日は2027年4月1日となります。したがって、派遣可能期間を延長する場合は2027年3月1日までに意見聴取の手続きを完了する必要があります。
聴取先は?
意見聴取は、派遣先企業に労働組合がある場合は「過半数労働組合」に、該当する労働組合がない場合は「過半数労働代表者」に対して行います。
■過半数労働組合■
従業員の過半数で組織されている労働組合のこと。会社内に労働組合が複数ある場合、そのうち労働者の過半数が加入している組合をさします。
■過半数労働代表者■
全従業員の過半数の支持を得て選出された労働者の代表者。
「意見聴取」の手順
①意見聴取 過半数労働組合もしくは過半数労働者代表への意見聴取。
・意見聴取は、延長して派遣を受け入れようとする事業所ごとに行います。
・意見を聞く際には十分な考慮期間を設けるようにします。
・聴取は延長しようとする派遣受け入れ期間などを書面により通知して行います。
・データの提供
意見聴取の際には、事業所の派遣労働者の受入れ開始以来の派遣労働者数や派遣先が無期雇用する労働者数の推移など、過半数労働組合等が意見を述べる参考になる資料を提供する必要があります。
②異義があった場合の対応
過半数労働組合などが、派遣受け入れ期間の延長に関して異議を述べた場合は、抵触日の前日までに、期間延長の理由などについて説明する必要があります。
③延長後の派遣可能期間の制限に抵触する日の通知
派遣可能期間を延長したときは、派遣先企業は派遣元(派遣会社)に対して、速やかに延長後の事業所単位の抵触日を書面にて通知する必要があります。
④書面の保存
意見聴取後、派遣先は意見聴取の概要などを書面に記載して、延長前の派遣可能期間終了後3年間保管する義務があります。
⑤事業所の労働者への周知
派遣可能期間を延長したときは、派遣先は「書面の保存」に該当する意見聴取の記録を、事業所の労働者に書面などにて周知する必要があります。
今回の「意見聴取」と関連する「派遣の3年ルール」に関しては、「派遣の3年ルール ここがポイント!」をご覧ください。エンプロでは、派遣サービスの導入に関する提案など、幅広くサポートいたします。派遣に関するご質問やご相談などがございましたら、お気軽にお問合せください。
※上記の記事は、2025年1月に発行された「マイシフトプレスVol.8」に掲載されたものです。掲載している情報は2025年1月時点のもので、法改正などにより変更される場合がありますので、最新の情報は関係機関のホームページ等でご確認ください。